あだち まさし
阿達 雅志 (65)

自由民主党 参議院議員

当選回数2

最終学歴
東京大学法学部卒業
肩書き
参議院議員

学歴

1993年4月 ニューヨーク大学ロースクール卒業

職歴

1983年4月 住友商事株式会社入社

政歴

2007年7月 自民党より第21回参議院議員選挙全国比例代表に出馬(17万票余り獲得するも次々点)
2010年7月 自民党より第22回参議院議員選挙全国比例代表に出馬(次々点)
2014年12月 12月繰り上げにより参議院議員初当選
2016年7月 第24回参議院議員選挙全国比例代表に出馬、2期目の当選を果たす(139,110票 第14位)
ガス・システム改革と天然ガス
今後の制度設計が国民の期待位に答えるものとなり、また新制度への移行が円滑に行われるように、
政府と取り組みをしっかり見守っていくことが大事です。

2015年7月にガス事業法改正法が成立しました。
ガス(小売)の全面自由化に続いて、2022年までに、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスの大手三社は導管部門が法的分離されることになりました。
電力とガスの垣根を取り払い、強い総合エネルギー企業を作ることが可能になります。
詳細な制度設計はこれからですが、制度設計の進展もしっかり見守り、法的分離前にガスの事業環境をしっかり検証し、法的分離がガス事業に悪影響を及ぼさないようにすることが大事です。

導管部門を切り離す前に、システムを変更しなければいけないという実務的な問題があります。
複数のガス小売業者が新規参入してきた時に、ガスが導管をスムーズに通り、お客への課金も間違いなくなされるようにすることが大事です。
制度設計が遅れると、システム変更も遅れることになりかねません。

導管分離後のガスの保安体制も重要です。
今までは、ガス会社が川上から川下まで一貫して責任を持っていましたから、保安はガス会社が全面的に責任を持っていました(持たされていました)。
ガスの場合、ガス器具の安全までガス会社が見ていました。
導管を分離した場合、家庭内、ガス器具の安全は導管事業者の手を離れてしまいます。
家庭内、ガス器具の異常に迅速に対応できる、利用者にわかりやすい体制を作らなければいけません。
特に、地震などの災害後の復旧では要員の問題もあります。
ガス会社が一貫して責任を持っていた時には、ガス会社前者の人員が復旧に当たりました。
しかし、導管会社を分離し、導管会社とガス会社の人事交流を遮断した場合に、現場で有機的な対応が出来るかという問題があります。
ガスの保安は利用者の生命・財産の問題に直結します。

導管網の延料金は伸をどう進めていくかという問題もあります。
改正法では、ガス会社間の導管接続に関する規定はありますが、導管網の延伸については具体的にどのようにモティベーションを与えていくかはっきりしていません。
改正法の付則では天然ガスの活用促進が明記されました。
改正法の目的は、ガス小売事業への新規参入者が出てくることにより、競争が促進され、ガス料金を下げることにありますが、既存ガス会社から新規参入者へのサービスのスウィッチだけであれば、ガス網の拡大は望めません。
日本のエネルギー政策において、天然ガスの活用を促進していくことは大事です。
ガス会社がLNG基地、導管、小売を一貫して行っていた時には、全体の経営の中で、ガス導管の延伸計画を立て、需要の開拓を行っていました。
しかし、導管部門だけを分離した場合には、着実な導管需要が見込めることが必要になります。天然ガスの輸入は長期契約で行われるため、需要がみとおせなければ、天然ガスの購入契約も締結できませんし、需要が見通せなければ導管延伸もできません。
天然ガスをもっと活用するための枠組みを考えることが大事です。

ガス事業のシステム改革は、市民生活に大きく影響します。
従来、ガス事業は交易事業として、供給義務を果たしてきました。地域独占を認められる一方で、料金は総括原価方式による認可制とされてきました。
ガス事業の自由化はガス小売への異業種からの参入を認め、ガス料金に競争を持ち込むことになります。
しかし、ガス事業の公益的側面をこれから誰がどのように負っていくかについては、必ずしも明らかになりきっていません。
自由化し、法的分離を求める一方で、ガス会社に公益的役割を求め続けることはビジネス的には無理があります。
ガス事業という今まで一貫して行われてきた事業を法的に分離した場合に、理屈では割り切れない落ちがあっては大変です。
また、法的分離の対象とならなかったガス事業者にとっても、ガス小売自由化後の業界の発展、天然ガスの活用は大きな問題です。
海外からの天然ガスの輸入が円滑に行われるように、ガス田の開発に国や大手企業がしっかり取り組むことも必要です。
今後の制度設計が国民の期待位に答えるものとなり、また新制度への移行が円滑に行われるように、政府と取り組みをしっかり見守っていくことが大事です。

更新日2021年11月16日
電力システム改革とエネルギー・ミックス
電気事業政策でもっとも大事なのは、安全を大前提に、安定供給、経済性、環境性の最適解を見つけることです。

2015年7月に電気事業法改正法が成立し、2016年4月の電力(小売)自由化に次いで、2020年に発送電事業を分離することが決まりました。
電力事業やガス事業の垣根を撤廃し、強い総合エネルギー企業を作ろうというものです。
また、政府はエネルギー・ミックスを閣議決定しました。さらに、CO2削減目標も策定されました。
今後の電力事業政策は、電力システムの着実な推進と2030年のエネルギー・ミックスの実現を軸に展開していくことになります。
電力システム改革の詳細な制度設計はこれからですが、安定した電力供給が維持できるようにすることが大事です。
同時に、改正法附則が定めるように、法的分離前に事業環境をしっかり検証することは欠かせません。
エネルギー・ミックスに関しては、原子力発電をベースロードとしてしっかり位置付けること、再生エネルギーを電力料金への影響を抑えながら拡大することが重要です。

送電会社の託送料金は総括原価方式による認可制が続きます。送電線については、いわゆる公共財のような形で、発電事業者、小売事業者に公平に送電サービスを提供することになります。
電力の販売促進をモティベーションとした送電網拡充が起きにくくなるため、送電網の拡充、整備については法的分離後もしっかり行われるような制度とすることが大事です。
米国は発送電分離後の送電網整備が疎かになったため、送電網の老朽化、弱体化が進み、大停電の一因になってしまいました。

発送電分離においては、発電会社の経営環境の各段階における検証が重要です。
原子力発電の問題を棚上げにしたままの法的分離では、発電会社の経営環境は極めて厳しいものとなりかねません。
非活用資産や過大なリスクを負ったままでは、安定的で経済性を持った発電事業は困難です。
新規参入電力が安価な電力を販売したとしても、供給力のある既存電力が経営不振に陥れば、電力料金は上がりかねません。
原子力発電の事業環境整備は喫緊の課題です。

原子力発電の事業環境整備では、原子力発電所の着実な再稼働と国策民営に沿った電力会社への適切なリスク配分が必要です。
まず、原子力損害賠償法の事業責任者は有限責任にすることを検討すべきです。
また、原子炉の使用期限を40年とすることについては、日本の点検整備のレベルを踏まえ科学的見地から見直しを行うべきです。
また、延長審査中に40年を経過した場合の救済措置は欠かせません。
特定重大事態への対応についても、政府が基準も示していない中で、2020年までに実施するのは現実的ではありません。
再稼働について、原子力規制委員会の新規基準への適合性審査に時間がかかり過ぎており、あまりにも膨大な資料要求がされています。
法律に基づく行政の観点から、審査における手続保障を明確に書面で規定すべきです。
また、法的根拠のない有識者会議による破砕帯評価など、原子力規制委員会の運営については設置法付則の趣旨からも見直しが必要です。
原子力発電を国策民営で継続する以上、国がしっかりしたコミットメントをしていくことが欠かせません。

エネルギー・ミックスでは、2030年に原子力発電を22~24%、再生エネルギーを26~24%(24~26%)とすることになっています。
原子力発電への依存度をできるかぎり引下げつつも、今後もベース・ロードとしていくためには、確実な再稼働とリプレースあるいは運転年数の延長が不可欠です。
原子力発電所の再稼働が遅れる中で、老朽火力の更新も必要になってきています。
新型石炭火力の更新については、現存老朽火力のCO2排出量との比較を電力全体で考えていくことが必要です。
世界的にエネルギー価格が低迷し、海外のエネルギー民間のエネルギー開発投資が停滞している今こそ、長期的観点に立って海外のエネルギー権益の確保に国が積極的に関与していくべきです。
また、再生エネルギーの利用拡大を図るにしても、電気料金への影響を最低限に止めるための方策を考える必要があります。

電気事業政策でもっとも大事なのは、安全を大前提に、安定供給、経済性、環境性の最適解を見つけることです。
政府の取り組みを政治がしっかり監督していかなければ、電力システム改革もエネルーギー・ミックスも失敗しかねません。
失敗すると困るのは電力利用者ですし、電力供給に支障が出ると国民の生命にも関わります。
また、足元では、原子力発電の再稼働が進まないことによる高い化石燃料発電、固定買取価格制による太陽光発電の拡大による電力料金の高騰は、家庭用で25%、産業用で40%超と看過できないレベルに達しています。
市民生活や産業活動にこれ以上悪影響がでないように足元の電力料金にもしっかり目配りしていく必要があります。

更新日2021年11月16日
シェアリング・エコノミーと白タク
規制緩和とITによって生産性を高めるという事でしょうが、
既存の事業者に対する規制とのバランス上、大きな問題があります。

最近、規制改革会議からシェアリング・エコノミーの成長を促す法的環境整備の提言がなされ、民泊と自動車が具体例として挙げられています。
海外でも、ITを使って使われていないリソースを有効活用するという動きが広まっており、日本でも一部の業者が同様の取り組みをしようとしています。
国際比較では生産性が低いと言われるサービス業で大胆な規制緩和とITによって生産性を高めるという事でしょうが、既存の事業者に対する規制とのバランス上、大きな問題があります。
既にUberやLyftなどの外資企業が日本進出を企図していますが、このままではITの名前の下に白タクを認めることになりかねません。
規制があるのはそれなりの理由があってのことです。タクシーを利用するお客が安心、安全に目的地まで運んでもらうことが大事です。
乗員の教育、車両の整備、適正なサービスにはコストがかかります。
また、保険を含め、万一のトラブルに対する事業者の対応力も必要です。
友達感覚で自動車を運転士、料金を取るというのは疑問です。
UberやLyftはドライバーと利用希望者のマッチングをするだけでは、現在のタクシー事業者が要請されているような責任を果たせるわけではありません。
ネットで派遣された車が整備不良で事故を起こしたり、ドライバーが無謀運転で事故を起こしたりしたらどうなるでしょうか?
乗客の安全・安心はまもれません。
また、こうしたサービスで受け取ったお金に対して、しっかり税金は徴収できるのでしょうか?
タクシー業界がもっとITを活用できる部分はあるかもしれません。
今後、地域の重要な公共機関としてバスを代替するケースなども出てくるかもしれません。
しかし、お客を考えた場合に、皆が皆、スマートフォンを使いこなすわけではありません。
アナログでサービスを受けたい高齢者も沢山います。
タクシー業界は、地域によって状況も違いますし、経営のビジネスモデルも会社によってちがいます。しかし、安心・安全を第一に考えて欲しいと思います。

更新日2021年11月16日
消費者契約法
悪質業者を排除し消費者を保護するか、各業界のビジネスの実態を踏まえた検討が必要です。

2015年12月に政府審議会消費者委員会の専門部会は消費者契約法見直し特定商取引法見直しの答申を公表しました。
現行の消費者契約法や特定商取引法の規定では、悪質な訪問販売や詐欺まがいの虚偽広告が後を絶たず、消費者保護のために、年間で100万件近い消費者生活相談が寄せられています。
しかし、現在、議論されている規制案は、悪質業者を排除するだけではなく、健全なビジネス活動にも影響する可能性があり、事業者のコスト増は最終的には消費者の不利益にも繋がります。
今の議論ではいったい何がどこまで規制されるのかが明確ではなく、具体的な行動指針を明確に示すことが重要となります。
業界によっては既に自主ルールによって悪質な販売保進活動を防止しようとしている業界もあります。
いかに効果的に悪質業者を排除し消費者を保護するか、各業界のビジネスの実態を踏まえた検討が必要です。

中間の見直しでは、不招請勧誘の規制強化、勧誘要件の緩和、不当勧誘型の拡大、契約解除・取消可能期間の延長などが議論されていました。
最終答申では大分、見直し項目は織り込まれましたが、まだまだ曖昧さを残しています。

勧誘要件の緩和は、勧誘の定義を、特定人に特定の者やサービスを購入させようとする場合に加えて、不特定多数に対する場合を含めようというものです。
今までは、対面販売などの直接的勧誘が対象でしたが、テレビ、ケーブル、インターネット、新聞広告、チラシなども規制の対象になります。
これらの媒体で誤った情報が伝えられたり、重要な情報が告知されなかった場合には、取消の対象になります。
具体的な適用範囲については解釈を明確化するとしていますが、法律の見直しではなく逐条解読で解釈を変更することは避けなければなりません。

現在、消費者契約の取消の場合には、双方が現存利益を返還することとなっています。
従って、売り手企業は販売金額の全額を返還、買い手消費者は現存する商品を返還することとなります。
サプリメントを5錠買って3錠飲んでしまっていれば、残り2錠を返せば良く、テレビやパソコンを使い続けていても、使って古くなったものをそのまま返せば全額返金してもらえることになります。
5年前のテレビ広告が、商品の問題点をすべて伝えていなかったからと言って、5年あるいはそれ以上たった時に、商品を返せばお金を返してもらえるというのは、いくら何でも企業にとって厳しすぎます。債権法改正の議論では、契約取消の場合に原状回復義務にしようとしていますが、消費者契約法はこの特例を残そうとしています。

また、法律上認められた以上の解除権、解約権あるいは損害賠償額などの条項は、事業者側の有利な立場を利用した不当条項として、無効にしようという議論もされています。
一体、どこで不当か否かの線を引くのか、大きな問題が残ります。
さらに、消費者裁判特例法では、適格消費者団体が最初に訴訟を起こし、不当勧誘を認められてしまうと、後から提訴された訴訟では、その判決を援用できます。
そのため、一件でも負けてしまうと企業としてはそれまで販売した全品については取消、返品のリスクを抱え、損失の引き当てをせざるをえなくなります。
これでは、企業は潰れるか、商品価格にリスクを転嫁するかせざるをえなくなります。

また、消費者契約法は通則法11条によって、外交企業が日本人に通信販売をする際にも適用されます。
以上のような規制については、グローバル・ビジネスの標準をはるかに超えるものとして相当いろいろな意見が出てくる可能性があります。
実際、英語のインターネット・ショッピングで、商品の説明が不十分だったということで何年もたって取消のリスクがあるということになると、日本向けには通販は認めないということになりかねません。

悪質な業者やビジネスから消費者を保護することは大事です。
そのため、各ビジネスにおいて、本当に何が必要なのか、もっときめ細かく業界の声を聞き、的を絞って悪質業者やビジネスを厳しく排除する方法を考えるべきです。


更新日2021年11月16日
鉄道インフラ輸出
国と民間がしっかり組んで長期的に取り組んでいくことが必要です。

政府は、2010年に10兆円であったインフラシステム輸出を2020年には30兆円にするという目標を目指し様々な施策を推進しています。
世界のインフラ市場が拡大する一方で、中国・韓国等の競合企業との熾烈な争いを勝ち抜くことが必要です。
また、アジアについては日本政府はADBと連携して、5年間で1100億ドルの質の高いインフラパートナーズを通じてインフラ投資を実現していくこととしました。
日本の鉄道インフラ輸出は日本の総合商社も長年、取り組んできましたが、残念ながら、成果は限られたものでした。
これから、政府の計画に従って、拡大行くためのポテンシャルは十分ありますが、相当の工夫をしなければ実現は難しいと思います。
国の支援の下、鉄道関連業界の英知を結集していく必要があります。

アジア諸国のこれらの成長のためには、道路、橋梁、港湾、空港建設とともに、鉄道建設が重要です。
鉄道は都市と都市を最短距離で結び、人や物を運ぶことが出来る極めて効率性の高い交通機関です。
CO2削減という観点からも、鉄道は自動車よりはるかに優れています。

日本の鉄道システムは世界でもトップクラスです。
新幹線システムの安全性、正確性、そして運転頻度の高さは群を抜いています。
鉄道車輌の製造だけを見ると、中国は日本やドイツ、カナダから技術導入した高速鉄道技術を使って猛追しています。日本の新幹線メーカー5社は50年で10,000両の新幹線車輌を製造しました。
これに対して、中国の北車、南車は両者併せて1年間で5,000輌の新幹線車輌製造する能力を持っています。経験期間が短いとは言っても短時間でこれだけ実績を積むと経験値も急速に高まっていると思われます。
しかし、鉄道車輌を含めた鉄道システムとしてみた場合、中国は全く日本の相手にはならないでしょう。
鉄道システムを自ら作ってきた日本の鉄道関係者の長年の努力の賜物と言えます。
日本の鉄道システムは単に目に見える技術だけでなく、安全や精緻さサービスなど目に見えない部分にノウハウが蓄積している。
鉄道建設後も、運行、保守まで含めて、日本の鉄道システムは成り立っています。
しかし、問題は、コストです。
長期的に見ると、日本の鉄道システムは極めて質の高い効率の良いシステムですが、初期費用だけ見ると高いことは否めません。
アジアの多くの市場が必要としている鉄道システムはもう少し、安くて質の低いものかもしれません。
今まで、優秀な日本の鉄道システムが車両などのシステムを除いては世界市場に拡大していかなかったのは、このためです。
また、鉄道車輌メーカーを見ても、世界水準で見ると、日本の車輌メーカーは一社一社の規模が小さいことに特色があります。少量多品種型製造を行ってきたと言えます。

鉄道は公衆交通として、社会政策上、運賃が抑えられているのが普通です。
そのため、快適性を追求した高級品よりも、利便性を満たす安価なものを選びがちです。
安価な大量生産型の方が評価を受ける市場も多いと思われます。
長期的なメンテナンス費用が安いと言っても、実際に、ちゃんとメンテナンスを行うかどうかも国によって違うでしょう。事業性を十分精査せず高級すぎる鉄道を建設すると、完成後に経営を著しく悪化させる原因となります。
日本の鉄道システムの海外輸出を増やすためには、鉄道経営にまで踏み込んで売り込みを行うか、品筆を下げた鉄道輸出もかんがえるか、といった工夫が必要です。

海外へのインフラ輸出では、オール・ジャパンで対応するか、チーム・ジャパンで対応するかという問題があります。
オール・ジャパンの場合、複数の同業者のれんけいがうまくできるかという問題があり、チーム・ジャパンの場合、同業者の問題が残ります。
また、全て日本企業だけでチームを組成した場合競争力のない業種の企業がチームに入ってきます。
ジャパン・イニシアティブのような形で、日本企業はリーダーとなったコンソーシアムでなければ競争力は高まりません。

2015年12月に安倍総理はインドを訪問した機会に、ムンバイーアーマダバード間高速鉄道に日本の新幹線システムが採用されることが決まりました。
柔軟ファイナンスを提供するだけでなく、ソフト・インフラ、人材育成にまで踏み込んだ画期的な合意です。今後の進展に大いに期待できます。

鉄道システムの建設は、食段階から完成まで非常に長い時間がかかります。
また事業主体は相手国の官公庁となる可能性が高い事業です。民間だけでは取れないリスクを多数含んでいます。国と民間がしっかり組んで長期的に取り組んでいくことが必要です。
JOINをこれからどのように活用していくか、課題は山積しています。

更新日2021年11月16日
独占禁止法審査手続きと適正手続の保障
独禁法調査における適正手続保障の強化は、グローバル・ビジネス時代には不可欠です。

近年、日本企業が国際カルテル容疑で調査を受け、海外で巨額の罰金を科されるケースが増えています。
既に数十人の日本人の役員や従業員が海外で有罪判決を受け、刑務所に収監されています。
もちろん、カルテルは自由経済において市場の競争を阻害する犯罪です。
しかし、日本の場合、自動車産業に見られるように、自動車メーカーの下で複数の部品メーカーが協力して部品の研究開発、コスト低減に勤めてきたという経緯があります。価格情報の共有や開発後の生産割り当ては独禁法違反にあたります。
米国の航空産業でも、過去、同様の問題が生じましたが,米国では、独禁法に抵触しない共同開発の仕組みを作りました。
日本でも、これからはこういう仕組み作りが必要です。
国際カルテルの調査では、各国の独禁法当局が協力して調査を行います。それだけに、日本企業だけが国際カルテルの調査で不利な扱いを受けることのないようにすべきです。

現在、独占禁止法違反容疑事案に関わる公正取引委員会の調査、審査手続きについての議論が進んでいます。
自民党政務調査会競争部会から適正手続の保障について、いろいろな提言がなされましたが、公正取引委員会は現行手続きを基本的に維持し、低減の課題については今後の検討に委ねました。
現在、審査手続きについてのガイドラインが検討されていますが、これは法的に認められた手続きがいままで明確でなかったことを明らかにする内容に留まっています。

独占禁止法の調査では、公正取引委員会は任意あるいは間接強制を伴う形で事業会社に様々な情報提供を求めてきます。
実際には、任意の事情聴取と言いながら長時間にわたり外部との接触を認めない聴取がなされたり、極めて広範な書類提出要求がなされたり、弁護士の同席や弁護士との横断がなかなか認められなかったり、という問題が生じています。
あるいは、書類提出に応じた際に直ぐにコピーを取らせてもらえないケースもあります。
また、海外では認められていることが多い弁護士ー顧客間の秘匿特権も日本ではみとめられていません。
公正取引委員会は、手続保障を拡大すると真相究明の妨げになると、濫用の恐れがあることを理由に現行ルールを維持しようとしています。
確かに、最近はカルテルなどのやり方は巧妙になり、公正取引委員会の調査も困難を極めることが多いでしょう。
しかし当事者の陳述頼りの調査は刑事事件の自白偏重と変わりません。
弁護士と相談した内容を提出させられるとすると、法的問題を防止するために弁護士と相談した方が、相談しないよりも不利になるということになりかねません。
企業が真相を究明しようとして内部調査を実施しようとしても、資料は持ち去られ、弁護士との協議内容も提出対象となるのでは効果的な内部調査はできません。
公取の立ち入り後でも違法行為を申し立てれば刑の減免の可能性があるため、立ち入りの際に書類提出要求を拒否し制裁金を科されても、内部調査をしっかりやった方が企業の損失は少なくなるという変な事態も生じかねません。
適正手続を保障することによって真相究明が進むというのが刑事司法の考え方でもあります。行政手続でも適正手続きをしっかり認めていくべきです。
また、大企業は独禁法調査手続きにおける法的権利を多少は分かっていても、中小企業にはそれだけの知識・経験がないのが普通です。中小企業のため時には、今のガイドラインではまだ不十分です。
引き続き、適正手続の強化を図っていくべきです。

国際カルテル調査の場合には、こうした手続きで日本企業が当局から受けた調査の結果は、各国で共有されかねません。
海外の事業者は適正手続で守られた中で調査に対応し、弁護士との相談結果が当局の手に渡る事もありませんが、日本の企業だけはそういうことが起きかねないのです。
これは、やはり何とかしなければいけないのではないでしょうか。
米国では、会社だけではなく、役員個人も厳罰に処せられますので、下手をすると日本人が米国に引渡しを求められる恐れもあるのです。

独禁法調査における適正手続保障の強化は、グローバル・ビジネス時代には不可欠です。
今後も引き続き、独禁法調査手続きの適正化を働きかけて行きたいと思います。

更新日2021年11月16日
デジタル時代のイノベーションと著作権制限の柔軟な規定
関係者の意見をしっかり聞きながら、少しでも早く著作権法の見直しを進めるべきです。

日本の著作権法はデジタル化時代以前に作られています。
新しい技術や著作物の活用方法が出てくるたびに、個別的に著作権の主張を制限してきました。
その結果、著作権法の条文自体が極めてわかりにくいものになっています。

日本の著作権法が邪魔をして日本ではグーグルのサービスが生まれなかった。iPodが生まれなかったと言われています。
こうしたサービスが日本でもできるように後から著作権法は個別に改正されていますが、実際のサービスが具体的にはっきりしていないと法律改正を認めず、また改正まで時間がかかることから、世界のビジネスからは大きく遅れを取ってしまっています。
海外でも認められているように著作物の利用が、「正当な利用」で「著しい不利益を生じさせない」のであれば、著作権制限をもっと広く認めるための規定を導入すべきではないかと思います。

著作者が苦労して創り出した著作物ですから、知的財産権としての保護は大事です。
しかし、知的財産権は有体物とは違い法律で権利を作り出し保護しています。
人類社会の文化的発展に寄与するという法的保護の根拠を考えると、財産権だから他人が活用できなくても良い、使わせない権利がある、という議論は行き過ぎです。
著作権者に不当な不利益を与えず、しっかりした活用であれば、一々、著作権の承諾を取らなくても良いようにしたほうが、新しいビジネ スは生まれやすくなるでしょう。
一方で、デジタル社会では、著作権者の意向を無視して、著作物の無断使用が無制限に拡大していきます。
著作権者の創作意図に全く反する使われ方もされかねません。
実際、インターネットでは著作権者の承諾を得たとは思えない動画、画像、音楽、テキストなどのデータが氾濫しています。著作権者は所要量などの大対価を受け取る機会を大きく損なわれています。
「柔軟な規定」の導入に慎重な人たちも、既に野放図な市場で被害を受けているのです。

どういう場合に「柔軟な規定」を認めるか、法律、少なくともガイドラインなどで、明確である必要がありますが、あまり狭く解するのでは新しいサービスやイノベーションを生み出すことにはなりません。
著作物を著作物として活用しない場合であっても、その著作物の一部を用い、外部に示すことによって利益が得られるのであれば、著作権者が何らかの対価を受け取ることがあっても良いように思います。
かつて、PCやビデオ機器での録画、ダビングに関して、機器に課金する補償料を支払うということが行われました。
機器に課金するというというのは、実際の使用とは違う議論ですからあまり賛成し難いのですが、実際の使用において使用された部分に応じて、妥当な範囲で何らかの対価が支払われることもあっても良いのではないでしょうか?
使用の態様、その争い目的なども勘案して、著作権を制限する。一方で、その争いについてはADRを準備する。使用料の決め方についてのルール作りを行うなどの工夫があっても良いと思います。
テクノロジーの発達で、音楽などはメロディーなどをどの程度パクったのかも簡単に分析ができます。
アナログで模倣品を追いかけていた時代とは違ってきています。
著作権者や著作権団体も、しっかり著作物に対するグリップを取り戻さなければ、著作権制度自体が崩壊してしまいます。

デジタル化の時代にふさわしい著作権法、著作権のあり方を考えていくことは大事です。
著作物には文化的著作物だけでなく、コンピューターのプログラムも含まれます。
米国では、法律の規定が多少曖昧でも、将来の訴訟リスクを撮って新たなビジネスやサービスを始めようというベンチャーが沢山あります。
日本では法的曖昧さを残して走り出す民間企業は極めて限られています。
それだけに、法律でしっかり早めに対応して行く必要があります。
スピードの速いデジタル時代では、こうした取り組みに時間をかける意味はありません。
関係者の意見をしっかり聞きながら、少しでも早く著作権法の見直しを進めるべきです。

更新日2021年11月16日
原発の再稼働
消費税の増税
環太平洋パートナーシップ(TPP)協定への参加
カジノを含む統合型リゾート(IR)
北方領土の返還
靖国神社参拝
女性宮家の創設
選択的夫婦別姓制度の導入
ヘイトスピーチ規制
憲法改正
死刑制度の廃止

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